【勝手に】少年と魔法のロボット#5【小説】
トオルへの拍手が止み始めた頃、トオルは、泣きはじめました。
「お父さんこれは僕じゃ無い、ロボットが歌ったんだ。お父さんはなんで僕だけに歌うことを禁止するの?なんで歌が嫌いならそこにいるの。 」
観客がざわつき始めた頃、お父さんはいつもうるさいとしか言わない、その口を開き始めました。
「それは、それはお父さんは昔、有名な歌手だったんだ。けれど、だんだん応援してくれる人もいなくなって、お母さんまでいなくなってしまった。お父さんは、そんな思いをキミにして欲しくなくて、歌うことを禁止したんだ。」
観客のざわつきが止みます。
「そう…だったんだ…。」
「ごめんトオル。」
少年は泣き止み、言いました。
「うん、いいよ。」
その日、トオルはたとえ不器用な声だとしても、声に出すことの大切さを知りました。
次の日から様々な人からの手紙が届き、トオルは世界中の人の為にグッスリ眠って、自分の歌をお父さんと一緒に作ります。