ヲタレンジャー#3
「お前はそれをおかしいと思わないのか。」
その声の主は地球人の指揮をとっている奴だった。
第2話【気】
「お前はそれをおかしいと思わないのか。」
「それってなんだよ。」
「その、武器と化した光る棒のことだ。」
「光る棒じゃないケミカルライト、またはサイリュームだ。それにこれは武器なんかじゃない。歴とした道具だ。」
「じゃあ何故それで戦っているんだ。」
「それは…。」
答えられなかった。限定品の取り合いの時にこれで殴り合うことはよくあった。でも今のHikaru-Bouは朱で染まっている。自分の着ているこの赤いスーツだって、黒っぽい朱で染まっていた。これを殺し合いの武器として使っているのには、違いなかった。
「そもそも、ヲタク達が踊りのために使っていた物が何故、殴り合いの道具になるんだ。おかしいと思わなかったのか。あんなにヲタクの学習をして。」
「そう、だよな。」
「限定品の数が1個や2個というのもおかしい。何かの政策なのか。」
「地球のヲタクはどうなんだ。戦いはないのか。」
「あるわけがない。限定品を持つ者を羨ましいと思うことはあっても、戦う事はない。ヲタクのほとんどが日本に集まるしな。日本じゃ戦いは法律で禁止されてる。」
「俺に、俺に地球のヲタクを見せてくれ。」
「そうか…。ついてこい。見せてやる。本当のヲタクって奴を。」