ゆうたクラブ日記

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真・闇夜に咲く花#2

第二話【闇夜のガキ大将】
 塾帰りの田内健は、とにかく逃げたかった。何からか?分からない。その存在からだ。
「塾に行くのは、あれ程嫌と言ったに」
もう泣き出しそうだった。その存在は、大きく、巨大だった。形は中学校のクラスにいるガキ大将に似ていたが、その存在はそれより遥かに大きく真っ黒で、何しろ恐ろしかった。田内健は、とにかく光の見える方に逃げる。後ろを確認しながら。
切れた電灯の有る道で、田内健は光を見つけた。光源ではない。スターだ。闇夜で逃げる人を助けるヒーローとネットで騒がれている、有名人「バット1号」。スターは自ら名乗った。
「私の名はバット1号」
少しかっこ悪いと最初は思っていた。しかし今はそんな事どうでも良かった。助けてと田内健はバット1号の名を叫んだ。するとバット1号はそれに応えるように右手を出すと、田内健の涙を良い匂いの黒いタオルで拭い、グーの手を作ると親指を黒い雲の有る方へ立てた。かっこいい。などと思っている3秒間。その3秒間でバット1号はその恐ろしい存在を消してしまった黒雲と共に。
礼などする暇もなく、バット1号は何処かへ行ってしまった。
電灯は切れたままだ。