とけるまでの1週間第2章
【溶けてからの13年後〜涙探偵〜】
#3
「では、そろそろ調査を始めますね。調査料は現金のみの支払いなので、そこのところよろしくお願いします。」
そう言って私は依頼主のユキさんの家を出た。私はユキさんの言っていた、生まれ変わりの事が気になっていた。思い当たる節があるのだ。私には体験したことのない雪の日の記憶がある。おそらくそれに関係して私は母から涙を集めるように言われている。だから、私の小さい頃はよく友達を泣かして怒られていた。
「涙は人の感情の詰まった大切なものだ。」そう母に教えられた。
「悲しいときに人が涙を流すのは、悲しいと思った自分を洗い流すため。」だと。
じゃあ何故、記憶の中のあの人は涙を流さなかったのだろう。